うちなー美味(まーさん)肉紀行 沖縄の美味(まーさん)肉を知る、味わう

  • 美味(まーさん)肉ガイド
  • 御膳本草(ぎょぜんほんぞう)
  • 食事
  • 生産者(カラヤー)の声
  • インタビュー
  • 市場
  • うちなーおばぁレシピ
  • レシピ
  • まーさんレシピ冊子
  • お土産
  • イベント

ホーム > インタビュー > 沖縄県畜産振興公社事務局長:長崎祐二さん

インタビュー

沖縄県畜産振興公社事務局長:長崎祐二さん—食肉×食育

畜産品の生産現場と、消費者の食卓を結ぶ架け橋として

子 牛を産む母牛は沖縄県内で5万頭以上も飼育されていて、全国の7.5%のシェアを占め、鹿児島県、宮崎県、北海 道に次ぐ全国4位。沖縄県内で開催されるセリには、佐賀牛などの銘柄牛で名高い九州からも買付人が足を運んでいます、と話すのは、沖縄県畜産振興公社で事務局長を務める長崎祐二さん。

長崎祐二さんインタビュー(イメージ) 沖縄県畜産振興公社とは、沖縄の畜産物の安定供給と生産現場から食卓までの安全を守る公的組織。沖縄県の畜産物の価格安定と畜産農家の保護育成を目的に昭和51年に設立された沖縄県畜産公社を前身に、畜産経営や生産技術の指導を行う社団法人沖縄県畜産会と平成24年3月に統合し、現在の沖縄県畜産振興公社となりました。分かりやすくいえば、沖縄県産の良質な肉を、いつでも安心して食べられるように生産を指導し、消費者にとっても生産者にとってもうれしい価格であるべく調整する役割・・・といったところでしょうか。

長崎祐二さんインタビュー(イメージ) 「沖縄の肉用牛の生産量は年間で約1800トン、飼養戸数は全国8位。生産者でいうと、肉用牛の肥育より、子牛の繁殖の方が多い。一方、豚の生産量は年間で約28000トン、飼養戸数は全国6位。いずれも、一戸あたりの飼養頭数は少なめで、小規模な農家さんが多いのが特徴ですね」。ちなみに、沖縄県内における1世帯あたりの年間購入量を調べてみると、1位は豚肉で全国平均の18.7kgに対して19.4kg。2位は鶏肉で全国平均13.7kgに対して11.4kg。ちょっと贅沢な牛肉は3位で全国平均6.9kgに対して6.7kg。やはり沖縄の食文化を支えているのは豚肉であることがよく分かります。

長崎祐二さんインタビュー(イメージ) 「豚はテーブルミート、つまり日常的に食卓に登場する肉。それに対し、高級な牛肉はお祝い事や特別な行事、贈答用など、特別な存在なんですね。ただし、豚の中でもアグーブランドだけは、贈答用の需要が伸びています」。肥満率日本一となってしまった沖縄県では、近年、健康志向が高まり、肉全般に加え、ポークランチョンミートなどの加工品の消費量も、やや減少傾向にあるのだとか。そんな中、畜産品の需要を伸ばすため、長崎さんは様々なアイデアを考えているようです。

「野菜や果物は、○○さんの作ったニンジンみたいな表示もできるし、直売所などで販売すれば、生産者の顔が見えるじゃないですか。でも、同じ農業でありながら、畜産物の場合は、生産者の顔が見えにくい。そこをなんとかしたいと思うんですよ」と熱く語る長崎さん。たとえば、石垣牛などの精肉を購入すると個体識別番号が表示されていて、出生年月日や性別、品種、飼育場所の履歴などをインターネットで簡単に検索できますが、どんな生産者がどれほどの手間と愛情を注いで育てたのかまでは調べることはできません。そこで、長崎さんは、生産者と消費者がふれ合えるようなイベントを実現したいと計画しているのだそうです。
「もう一つ、ぜひ実現したいのが、食育に関すること。今の子どもたちは、命あるものを食料としていただいているという実感が持てないでしょう?そこに着目したイベントを開催できたらと思います」。昔、沖縄の肉屋さんでは、よく店頭で豚の解体ショーをやっていて、新鮮な豚肉の好みの部位を求めるために並んだ主婦の間から、子どもたちものぞき見していたものだといいます。最近は一部のスーパーなどが取り組んでいるのみで、あまり見かけなくなりましたが、こうした解体ショーも食育教育に役立つのではないかと長崎さん。昨年は那覇市内の小学校で「沖縄の家畜」と題した出前授業を行いました。

長崎祐二さんインタビュー(イメージ)

長崎祐二さん(イメージ) 「できるなら、ひよこから子どもが自分で育て、成長した鶏を大人にしめてもらい、その体温を感じながら羽根をむしり、包丁でさばき、調理して食べるまでを、親子で体験してみるといいと思う。命あるものを食べるという現実から目をそらさず、ちゃんと受け止めることが、なによりの食育になるはず」。畜産品の生産の現場と、それを食べる消費者の食卓を結ぶ架け橋として、長崎さんは今日も夢の実現に向かっています。

*本文中のデータは、沖縄県農林水産部畜産課「おきなわの畜産」(平成22年度)、農林水産省「畜産統計」(平成23年)、総務省「家計調査」(平成21~23年平均)、沖縄総合事務局農林水産部生産振興課畜産振興室「沖縄の畜産の概況」(平成24年)によるものです。

長崎祐二さんプロフィール

財団法人沖縄県畜産振興公社で事務局長兼業務課課長を務める。
夢は、子どもたちに、命あるものを食べているということを実感できるような
食育活動を実現すること。

「インタビュー」トップに戻る

ページの先頭へ戻る

財団法人 沖縄県畜産振興公社

Copyright©All Rights Reserved. Okinawa Prefectural Livestock Industry Promotion Foundation