> 生産者(カラヤー)の声 > やんばる地鶏:仲松 政治さん
「沖縄の肉といえば、豚肉を使った伝統料理や、石垣牛などを思い浮かべる方が多いかと思いますが、ウチナーンチュは鶏肉も大好きなんですよ」と教えてくださったのは、やんばる地鶏をはじめ、鶏肉の生産を手がける、
有限会社中央食品加工の代表取締役社長、仲松政治さん。
全国各地に店舗を構える、あのアメリカ発祥のフライドチキンのチェーン店の中でも、売上ナンバー1は、東京でも大阪でもなく、なんと那覇の首里末吉店。県民一人当たりの消費量も全国1位。戦後、アメリカの統治下で、ローストチキンなどの食文化が広まった沖縄では、合格祝いにパーティサイズのフライドチキンを贈るほど、鶏肉料理が根強い人気なのです。
「あのフライドチキンの沖縄県内にある店舗では、うちで育てた鶏肉を使っているんですよ」と仲松さん。
あのしっとりとジューシーで柔らかな食感を越える品質のものが、やんばる地鶏だと聞き、思わず興味津々に。
まずは地鶏の定義について伺ってみました。
「国産地鶏とは、明治時代までに定着した在来種の血を50%以上有し、80日以上の飼育期間のうち、28日目以降は地面や床面を自由に運動できる平飼いで、かつ1平米あたり10羽以下という基準のもとで、日本国内のみで育てられたものと厳しく定められています」。
しかも、出荷の際には、通常の鶏肉にも表示される品名、内容量、消費期限、生産者といった項目に加え、品種の組み合わせ、飼育方法、飼育期間などの情報も表示されるのだそうです。
「やんばる地鶏は、ロードアイランドレッドという在来種の血を87.5%引いています。 ちょっと鶏舎をのぞいてみませんか」。
取材スタッフは仲松さんと一緒に、やんばる地鶏の鶏舎へと
向かいました。
本部町から今帰仁村へと向かう、やんばるの緑豊かな高台に、その鶏舎はありました。
日当たりのよい62坪ほどの敷地内に2棟の鶏舎が並んでいますが、全身を専用の滅菌白衣と消毒した長靴に身を包んでも、取材スタッフが入れるのは鶏舎の入口まで。インフルエンザが流行する季節には、関係者以外は一切立ち入り禁止という厳しい管理体制も、感染症の原因となる病原菌などを持ち込ませない配慮です。
「現在、ここでは45日目の地鶏2400羽を飼育しています」。鶏舎の扉を開けると、つややかな茶色の羽根が美しいやんばる地鶏が、おがくずを敷いた地面を自由に走り回り、元気に餌をついばんでいました。とうもろこしや小麦などの植物性飼料に、沖縄の健康食材としておなじみのウコン、ヨモギ、島とうがらしなどを加えた独自の飼料を与え、食べ残しがないかどうかもきめ細かくチェックするそうです。
「うちでは、孵化後20日齢以降のひよこの頃から出荷時まで、飼料に抗生物質や合成抗菌剤は添加しません」
と胸を張る仲松さん。
その代わり、やんばる地鳥の健康を守るために、さまざまな工夫を凝らしているといいます。
「鶏舎内の衛生管理はもちろん、風通しよく保ち、鶏舎内の温度の上昇を防ぐため、西日が当たらないように気を付けています。オールイン・オールアウトといって、すべての地鶏を出荷したら、必ず一度は鶏舎を空にし、すみずみまで水でキレイに洗って消毒し、乾燥させてから次のひなを入れています」。鶏舎に特有の匂いもほとんどなく、いかに衛生的な環境が保たれているかを体感できました。
「こうして鶏舎の中を自由に運動しているので、やんばる地鳥は適度に筋肉が発達するんですよ」。
ブロイラーの鶏肉は色が薄く、味が淡白でクセがなく、胸肉がややぱさついた感じなのに対し、やんばる地鳥の肉は赤みが強く、繊維が細かくて歯ざわりがよく、胸肉もぱさつかずにジューシーで、鶏肉特有の匂いが極めて少ないのが
特長とのこと。
「渡り鳥はニュージーランドからアラスカまで飛ぶことができるでしょう?その強靭なパワーは、翼を動かす胸の筋肉に含まれている、イミダペプチドという抗疲労作用をもつ成分にあるんです。このイミダペプチドは、鶏の胸肉にも含まれていますから、疲れやすい方、疲れが抜けない方、よく運動する方には、特にオオススメします」。
スポーツの試合やマラソン、運動会などで筋肉を使った後の疲労回復にも有効なのだそうです。
「やんばる地鳥を、名古屋コーチンのような存在に育て上げたい」と語る仲松さんが推薦する鶏肉の調理法は、
水炊きと、弱火でじっくり焼き上げたステーキ。鶏のうま味が一番よく分かるのだそうです。
さっそく今夜あたり、いかがですか。